2026年3月9日(月)
優しさのバトンはどこに
「今日はお蕎麦が食べたいな」そんな軽い気持ちで立ち寄ったお店の入り口で、小さな優しさのやり取りが始まりました。同時に着いた4人組の方々。どうぞ、と譲った私に、「食券迷っちゃうからお先にどうぞ」と返してくれた彼ら。その時の空気が少しだけ温かくなったような…。
先に席に着いた私。選べる席は、広々とした4人掛けのテーブル席でした。後から来た彼らは、靴を脱いで上がる小上がりの席へ。チラッとこちらを見たような気がして、「あ……もしかして、あちらの方が椅子席が良かったかな?」と思いつつ、ズルズルとお蕎麦をすすりながら、背中に感じる申し訳なさ。あんなに温かかった心が、急に「ざわざわ」と…。
「好意の返報性(へんぽうせい)」という言葉を思い出しました。他人から何かをしてもらったとき、『お返しをしないと申し訳ない』と感じる心の仕組みのことです。 相手の優しさに、最高の形で応えられなかったと感じたとき、私たちの心には「未完了の宿題」のような気まずさが残ってしまうのかもしれません。
おまけに、人間には「スポットライト効果」という困った癖があって、相手はもうお蕎麦の味に夢中かもしれないのに、自分だけがステージの上で失敗した役者のように、過剰に相手を気にしてしまったり…。
ズルズルとお蕎麦をすすりながら、背中に感じる申し訳なさ。「私は4人席で、ひとりそばをすする怪獣?」。自分が思っているほど、他人は自分のことを見ていないと思いつつ…。
オフィス新開・新開よしこ


